3万円の帽子がほしい
運命の帽子に出会ってしまった
昨日からそのことだけを考えている
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日曜の午後だった
久しぶりに外食をして、春服でも見るかなあと街へ出かけた
そこでたまたま立ち寄った帽子屋
店の一番奥の店に、その帽子があった
コロンと丸いフォルム
よもぎのような優しい色
他のお店にはない、オリエンタルな風合い
素材、デザイン、シルエット、かぶりごこち、
どれをとってもパーフェクトだった
ただひとつ ただひとつ
値段を除いては
HACORAのオリエンタルな帽子
お値段28,600円。
28,600円。。。
四捨五入して3万円。。。
3万円??????
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もともと帽子が好きなので、デザインが気に入ったものなら1万円ぐらいでも買う
全然買う、買うのだが、
3万円の帽子に出会ったことはなかった
3万円????
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ちょっとまってくれ…私の時給で何日分だ?
3日働いても足りない…え、ちょっとまってくれ時給がバレる
俺の天賦の才がバレる
3万円…
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帽子に3万円払うということを、この30年近い人生の中で考えたことがなかった
なので、動揺がすごい
帽子に3万円払う世界線に来てしまったのか…でも私は帽子に3万円払える世界線にいないのだ…
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だって3万円って、普通にロリィタの良いワンピースが買えてしまう
2月からずっとどの色にするか迷ってるジュエティのチャイナジャケットが3着とも買えてしまう
数十分前に見つけた、ストロベリーフィールズの可愛いジャケットは1万5千円だった
ネイビーと生成りがあって、どちらの色にしようかすごく迷ってやめてしまった
そのジャケットが2着、両方とも買える
3万円で鳴子温泉に行けばかなりランクの高い宿に泊まれるし
高速バス+カプセルホテルで東京1泊できてしまう値段だ
3万円、私の生活の中であまりにも大きな金額
それを帽子1つに全力投球するだけの決意と財力が
私にはない……
悲しみの日曜日、土砂降りの月曜日。
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それでも、月曜の朝からあの帽子のことを考えてしまう
デザインももちろんだけど、何よりあの帽子
私の雰囲気にすごく似合っていたのだ…(手前味噌)
手持ちのあの服とあの服を売ったら、1万5千円ぐらいになるんじゃないか
そこにフリマアプリの売上金を足したら、3万円ぐらいになるじゃないか
うんうん、よし、3万円工面できそうだぞ と思ったが
ただ、3万円確保できたところで
本当に帽子にその3万円を使って良いのか?という疑問が拭えない
それは、あの帽子に3万円の価値が無いというわけではなくて
かなしいかな、私の収入と生活で、帽子に3万円かけるだけの財力がない……ただ、純粋に
3万円で帽子を買うぐらいなら、ちょっと良いご飯を食べたいなとか
ちょっと温泉に行きたいなとか
家族においしいもの買って一緒に食べたほうが心の満足感が高いかなとか
色々理由付けを考えてしまって、3万円出す決意ができない
「人の金とか、突発的な収入があれば遠慮なく買えるのか?」というと、
そういうわけでもない
その場合もやっぱり「3万円もらったんだからもっと別のことに…」と思ってしまう
例えばこの帽子は休日しかかぶれないから
それなら毎日着ていけるコートに2万円使って、1万円で他の帽子を買って妥協しようとか
ストロベリーフィールズのジャケット1万5千円のやつを買って、あとは美味しいもの食べようとか
うんうんぐるぐる、そんなこと考えているうちにフリマアプリでお目当てのJSKが出品されたので8000円で買ってしまったりした
↑空港でジュース買ったコピペかよ…
そのあと狙ってた漫画がこれまた安く出品されたので買ってしまったりした
↑売上金がかなり消えた
うーーーーん 当てにしていた売上金も減ってしまった どうするんだ私
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多分ね、あの帽子は買わない
買わないと思うんですよ
アウターなら、ワンピースなら、3万円出したかもしれない
本革の財布とかバッグでも出したかもしれない
でもおしゃれしたときにしかかぶれない(しかもオリエンタルでちょっとコーデが限られる)帽子に3万円っていうのは、やっぱり今の経済状況と金銭感覚じゃ難しい…
ただ、「買わない」って文字を打ちながらグエエやっぱりほしい…ってなってる自分もいるんだよなあ
3万円…3万円かあ…
競馬で万馬券当たったらなあ…
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ただ、一生に一度ぐらい3万円の帽子を買う日があっても良いんじゃない?
という謎のブルジョワ庶民もこころの中にいるので
あと3回ぐらいはお店を覗いてウンウン唸って、家計簿と今後の予定次第では買うかもしれないです
そしたら今度は色で悩みそうだな…
画像は仙台駅地下鉄のTRIGGERです
めちゃくちゃいてビビった!