気仙沼の祖母がまだ元気だった頃、よく通った飲食店の一つに、峠の「カントリーロード」というレストランが有る。レストラン?喫茶店?まあどっちでもいいか。気仙沼から唐桑へ行くバイパス沿いにあるお店だ。
レンガ風の建物で、トイレは純和式。アラサーのわたしが子供の頃からあった店なので、創業30年は超えてるんじゃないだろうか。
格別美味しいわけでも、ぶっちゃけ安いわけでもないが、素朴かつ田舎の味付けのレストランで、地元ではそこそこお客が入っている。基本的に量は多い。ナポリタンはちょっとしょっぱい。トーストもでかい。
7年、いや8年ぶりぐらいに訪れた。震災が起きてからは一度も来ていないので、もっと前かもしれない。
店内の、ちょっとレトロで鄙びた感じは変わらなかった。20年以上景色が変わらないのはある意味すごい。
土曜のお昼時に訪れたためか、店内はすぐにいっぱいになった。家族連れ、カップル、学生、色んな人がいる。色んな人がいた。ずっとそこに。
いつも私は何を食べていたんだっけ。そんなことも忘れるぐらい、この店に来ていなかった。あんまりお腹が空いていなかったので、ピザトーストを食べた。
父が頼んだナポリタンは、ケチャップの味が強かった。
味の違いはよくわからないけど、ちょっと古びた空気は昔のままだった。入り口近くのブランコも。
そういやこのカントリーロードのちょい上に白い建物のレストランがあったはずなんだけど、2019年9月に通りかかると扉が閉まっていた。廃業したのか、たまたま休日だったのか。グーグルマップにはもう何も表示されない。
また来るかなあ。もう来ないかなあ。
「やっぱ、特別美味しくはないよね」と私が言った。
「でも、おばあちゃんとの思い出の場所だからね」と母が言った。
やっぱもう、来ないかなあ。