【岩手】花巻市の山の駅「昭和の学校」へ行きました【B級スポット】
先日花巻へバラを見に行ったら、友人が「「昭和の学校」っていうレトロなパワースポットがあるらしい」というので気になって連れて行ってもらいました。廃校を利用して、昭和の生活用品やブリキの看板などをひたすら延々と展示している施設でした。博物館のような丁寧な解説はいっさいないけど、子供の頃の思い出をごちゃごちゃに詰め込んだおもちゃ箱のような空間でした。
ついったではまぼろし博覧会のクレイジーな昭和が話題ですが、こちらの昭和は純度100%の昭和です。
花巻の山奥にあります
「昭和の学校」は廃校となった花巻市前田小学校を再利用した施設です。花巻の割と山奥にあります。
入館料は大人500円。正直、一丁前な料金だなとは思いましたが町おこしには資金が必要ですから仕方ないでしょう。土曜の午後に行ったんですがほぼ貸切状態で人がいません。
展示品は5万点、校長が二十数年かけ、主に東北地方を中心に走り回って
収集した貴重な文化財ともいえる昭和資料館です。
公式サイトによると個人の方が収集した展示品のようです。それよりも何よりも私は公式サイトの「岩手の新たなパワースポット」という迷文が気になります。霊験あらたかな山の中にあるのでしょうか?
溢れんばかりの昭和パワーが平成生まれの私を泥のように溶かしてしまわないか心配です。先ほど純度100%の昭和とお伝えしましたが、謎のパワーを訴えるスポットということで早速怪しくなってまいりました。
きれいな学校です
廃校の利用というからどんな古めかしい校舎かと思い来や、校舎自体は新築で結構綺麗です。少なくとも私が育った小学校(築40年)よりもずっと綺麗で新しい。2階建てなんですが、校舎の真ん中が吹き抜けになっていて洒落てます。
調べたところ、前田小学校は2012年に廃校となったそうです。135年の歴史を持つ非常に古い学校だったそうですが、残念ですね。
最後の方は総児童数が全学年で13人だったとか。13人かぁ…。13人て……。先生は何人ぐらいいたんでしょう?地方の少子化の波が直撃してるな、という感じですね。
あ、トイレがね、いかにも「小学校のトイレ」でなんか懐かしくなりました。あの、水掃除できる床タイルのトイレなんですよ。あのちょっとくさいトイレ。誰が履いたかわからない長靴に足突っ込んでさー、くっさくて暗いトイレに水撒いてデッキブラシで擦るの。はー、あのトイレ掃除嫌いだったなぁ。
正直、トイレが綺麗で暖かだと心が豊かになりますよね…私は小中校とも公立(そして古い校舎)だったので、国立大学に進学して温水洗浄便座があったとき甚く感動した覚えがあります。温水洗浄便座は神器。
所要時間は1時間程度
2階建てとは言え小さな小学校なので、1,2時間ほどあればぐるっと回れます。展示物もただ並んでいるだけで、博物館のように解説がある訳でもないので眺めて終わり。古いものに興味ない人にとってはガラクタの集まりにしか見えないでしょう、しかしこういうものが好きな物好きもいるのです。わりと奇矯なものが並んでいるので写真を撮るのは楽しいですね。アイテムも揃っているのでリアリティと迫力のある画が取れます。
あと、薬屋とかタバコ屋とか、昭和の商店街を模したお店のコーナーがいくつかあるので、その風景に人を溶け込ませて遊ぶのも楽しいかもしれません。
個人的にはタバコ屋と中華料理屋のセットがお気に入りです。簡単にロケできちゃうぞい。
まず最初は薬屋さん
小さな学校ですが、一応順路があります。館内に階段は2箇所あるんですがそのうち一方しか使えないので、スムーズに見て回るための工夫のようです。
まずは受付で500円を支払い廊下の奥へ。放送室だったのでしょう、赤いランプの部屋があります。その奥には薬屋さん。
街の薬屋さんの話と、田舎の方までやってくる薬売りの話などが書いてあります。いまでも見覚えのある名前がありますね。
吹き抜けはおもちゃと生活雑貨のコーナー
薬屋の廊下を突き当たり右に曲がると、校舎の心臓部に出ます。天井は吹き抜けになっていて広々とした印象です。ここには古い人形やミシン、生活家電などが雑多にならんでいます。大きなソファーやテレビもあるので、上映会なんかもできるのかもしれません。あ、トイレもここにあります。
2階に商店街
お店の多くは2階にあります。2階は多数教室があって、全部で17ものお店が並んでいるのです。
電気店/おもちゃ屋/レコード店/洋品屋/古本屋/靴屋/床屋/文具店/雑貨屋/駄菓子屋/パーマ屋/セトモノ屋/紳士服屋/タバコ屋/常盤座/カメラ/時計店...and you!
常磐座、っていうのは映画屋さんです。実際に販売してる訳じゃない(と思う)のですが、本物の映画館のようにポスター品ぞろえが良いので見ていてワクワクします。私はこういうとき、青木まりこ現象を催します。(あって良かった女子トイレ)
以下、順路の通りではないですが写真と簡単なコメントを併記します。
1.電気店
昭和の家電を集めた電気屋さん。冷蔵庫なんかは今とだいぶ趣が違いますね。でもこういう緑の冷蔵庫、今売り出したらレトロ可愛い!つって一人暮らしの女子に人気出そうなものなんですがどうでしょう。冷蔵庫もっとカラフルだったら楽しいのになって思います。
2.おもちゃ屋
ウルトラマンティガなど平成の片鱗が見えるのがご愛嬌。もはや平成も終わろうとしてるのですから仕方のないことです。おもちゃについてはあまり古いという印象を受けませんでした。むしろ私の世代だってこれで遊んできたんじゃないかな?
3.レコード店
これは……昔のアイドルやミュージシャンが好きな人には堪らないでしょうね。私が訪問した際はビートルズ特集を組んでいたようです。レコードプレイヤーも重厚な作りの立派なものが何台もありました。これもオタクにとっては堪らない絵面かもしれません。
4.洋品屋
既製服の並んだ洋服屋です。どうでもいいですがプレタポルテ、って響きはコロンと纏まっていておしゃれですよね。昭和レトロな丸襟ワンピやブラウスは今見ても超絶可愛いので、再ブームを期待したいところです。
5.古本屋
本当にただ古い本を並べただけ(笑)小説は割と新しいものも並んだ雑多な本棚。女性自身などの雑誌も豊富です。おすすめなのか平積みされています。昔の雑誌はどの年代を見ても、今の年代と比較して大人っぽい雰囲気がありますね。
6.靴屋
靴の箱が所狭しと並んだ靴屋です。小学校や中学校の運動靴を、みんなわざわざ買いに行ったのでしょう。私も近所の文具屋に買いに行きました。あの文具屋、まだやってんのかなぁ。
正直、靴のデザインで昭和を感じるということがあまりないのですが、昭和と言えばこんな靴!っていうのはあるものなのでしょうか?ナイキやニューバランスあたりは昔の定番デザインとかありそうですが。後はブームと言ったら厚底ブーツが浮かぶけど、アレは90年代だよね……。
7.床屋
メンズビゲン。すみません言いたかっただけです。学校の怪談や都市伝説が大好きな女なので、口裂け女の「ポマード・ポマード・ポマード」って呪文で初めてポマードを知った覚えがあります。あれなんでポマードだったんやろな。
昭和のオカルトコーナーがほしい
そういえば昭和~平成って怪談や都市伝説の隆盛期ってイメージが有るのですが文化的にはどうでしょう?口裂け女や人面犬って昭和の話ですよね?私の世代なら稲垣吾郎の「ほんとにあった怖い話」や怪談レストランシリーズ、トイレの花子さんを鑑賞していた方も多いのでは?
この学校のほんの小さなスペースでいいから、XファイルとかUSO!?ジャパンみたいなうさんくさいオカルティックなコーナーを設けてくれたら楽しいなって思いました。いえ、私が楽しいだけです、はい。
8.文具店
必要な文具は経費で落ちる!何の変哲もない文具店です。あれ?普通すぎて写真撮り忘れたかも。
9.雑貨屋
駄菓子屋かな?と思いきや雑貨屋でした。いまでいう街のコンビニ的なあれですよね。昔は気仙沼のばあちゃんの家に行くとそういうお店がぽつぽつあって、お墓参りの仏花はそういうお店で買ったものでした。震災の影響も大きいけど、いまはほとんど無くなっちゃいましたねぇ。
10.駄菓子屋
皆さん大好きな駄菓子屋。カラフルでこまごまとした菓子がひしめき合うように並ぶ姿は大人も子供も胸をくすぐられますよね。皆さんは駄菓子で何が好きでしたか?私はサイコロキャラメルと、占いのできる小さなチョコと、プラスチックのコーラ缶に入ったラムネでした。粉ジュースは吸わずに溶かして飲む派でした。
あとは、駄菓子ではありませんが、ねるねるねのメロンソーダ味がすごい好きでした。フリフリシェイクとか。フリフリシェイク、自然と牛乳飲めるし、適度にケミカルな味で美味しかったと思うんだよなぁ。PETSとかもよく買ってもらいましたね、トムアンドジェリーの首だけ付いたようなやつね。懐かし~。もぎもぎフルーツした~い~。
11.パーマ屋
美容院じゃなくて「パーマ屋」って表現から漂う昭和の香り、素晴らしいです。とはいえ真新しい発見はあまりなくて、今でも田舎の方にいけばこんなパーマ屋あるよなって感じもあります。パーマ屋ってけっこう長く続きますよね。むしろ若者向けのヘアサロンのほうが安定せずに閉店開店を繰り返しているような。まあ、少ない若者を多くのお店で取り合っているのだから致し方ないことでしょうか。田舎の美容院は固定客もいるだろうしなあ。
12.セトモノ屋
瀬戸物屋。お皿やお茶碗がたくさん並べてあります。でもここは正直お店って言うより日曜のフリーマーケットという感じも。仙台にいて瀬戸物専門のお店を見たことがあまりないのだけど、昔は結構メジャーなお店だったのでしょうか?プラスチックの食器なんて、お子様用の茶碗ぐらいだったのかしら。
13.紳士服屋
レトロな外套や紳士服を並べたお店です。あまり写真は撮ってないのですが、それは並んでいた洋服と祖父の姿が重なって見えたからです。すっかり忘れていましたが、ここにある洋服も玩具も、全部誰かの大切な宝物だったんでしょうね。誰のものかは分かりませんが。
14.タバコ屋
昔懐かしいタバコ屋もありますが、館内は禁煙です笑。古いタバコのパッケージが並んでいて可愛いな~と思ったんですが、知らない銘柄も結構多くてびっくりしました。
「あやめ」とか花の名前の煙草、可愛らしいですね。女性のタバコと言えばピアニッシモのイメージがあるんですが、それより情緒のある素敵なお名前です。お店のメニューにキセルや葉巻も載っていることには流石に驚きました。いまこんなの吸う人いるのかな?時代ですね。にしてもやっぱりデザインが可愛いなあ。
まあ私タバコの煙駄目なんでなんとも言えないのですが。こんな感じのココアシガレットがあれば揺らぐかもしれません。
15.常盤座
オリオン座からの招待状、的な、昔の映画館を模した展示コーナーです。
邦画はよくわからないのですが、キアラさんみたいなポスターがあったので撮影してきました。
そういえば仙台では桜井薬局セントラルホールが閉館となりますが、寂しいですね。まあいつ行ってもガラガラで大丈夫なのかな?と思っていたので予想的中というかなんというか。私の周りでも、TOHOには行くけど桜井薬局セントラルホールに行くって人は全然見たことないですし。あのね、良い映画館だったのですよ。お店の前の券売機とか、味があって大変良いですよ。6月末までは営業しているらしいので、気になった人は行ってみてくださいね。
16.カメラ屋
カメラ屋です。懐かしい富士フィルムのフィルム。昔、小学校の工作でフィルムケースを持ってきて下さい、なんて言われたものだけど、今はもう使わないのでしょうか。ホウ砂で作る手作りスライムを入れるのは、もっぱら半透明のフィルムケースと相場が決まっていたものでしたが。
一眼レフばかり並んでいて、「写ルンです」が無かったことに少しがっかり。あ。でも写ルンです、ってもしかして平成のアイテムですか?
修学旅行の写真は写ルンですを持参して、撮り直しが効かないから節約して、一生懸命構図とポーズを練って、安くない現像代を払ってプリントして、仕上がるのは一週間も後で……なんて生活でしたが、いまはスマホで何でも撮影できる時代だから本当に便利ですね。今見ると、写ルンですは写ルンですなりに湿気た味があって良いのだなとも思いますが。
17.時計店
時計の無限回廊ですね。時計含めた貴金属を扱うお店は昔から街中にもあるので親しみが持てます。仙台で言えば時計と宝石~三原堂~♪というやつです。祖母の家と同じタイプの鳩時計があって懐かしいな、と思ったんですが、そういえば最近の家ではこのタイプの鳩時計を見かけませんね。可愛いんだけどなぁ。
公式サイトの項目にはないけれど、他にもいろいろなお店が軒を連ねています。
こちらはドルオタ……アイドルグッズのショップ。流石に平成では?と思ったけれど、ブロマイドなら昭和の時代からありそうですね。
こちらは東北の土産物屋。三角ペナントなどが展示してあって昭和を感じました。アイヌの人形とか必ず田舎の家にあるのはなんでだったんだろうな、と思ったけど、北海道旅行では定番のお土産なんですね。ここだけ金カムゾーン。
飲食スペースは特に無い
「山の駅」というもんだから道の駅的なあれを想像してたんだけど、カフェとかは特に無かったです。トイレは借りられるけど普通の男女トイレのみ。車いす用やオストメイト用トイレは無いです。
学校の前に飲み物の自販機があるのと、校内で駄菓子の販売があるので…飲食はそれぐらいでしょうか?お土産の販売とかもないので、よくある「道の駅」的なサービスは期待しないようご注意下さい。
まとめ
まぁ色々書いたけど、結論としてはわりと楽しかったです!私は写真撮るのが好きなので、味のある被写体がたくさんあるという点ですごく面白かったな。花巻に行ったら絶対行けってスポットでもないけど、暇つぶしには良いんじゃないかな?と思います。
あと聖徳太子の千円札を探してるそうなので、お持ちの方は伺ってみてはいかがでしょうか??
あと最後に思索の話など。(独り言なので読まなくていいです)
平成風味に味付けされた「昭和」を思う
恐らく本当にあの時代を愛した人々にとって、ノリとサブカルで生きてる奴の「レトロが好き♡」ほどウザいものは無いと思うんですが、恥ずかしながら私もそのカテゴリに入る知識の浅いレトロ好きです。「ぼくのなつやすみ」をプレイしてからあの昭和の夏を感じる世界観が非常に好きです。平成生まれなので、昭和最後の夏の匂いすら知らないんですが。
テレビでレトロなスポットを取り上げるたび、私は「素敵~」って言っちゃうんですが、昭和生まれの母はそれについてあまり良い顔をしません。それには理由があるそうで…
「昔の家は寒かったし、トイレは臭かったし、道路はいつも汚かった」
「街灯もなくて夜は真っ暗なのに、野良犬がでる。でもトイレは家の外にしか無い。小さい頃は、夜に家の外にでることが本当に怖かった」
私は何も知らないからこそ呑気に「好き♡」なんて言ってられるのだな、と少し考えた日でもありました。(ちなみに父も母と同世代ですが、父はこういうレトロな奴を割と好みます。まあ個人差がありますよね)
私の咀嚼した昭和は、良いところだけ抜き出した「古き良き時代」で、真実よりも幾分か口溶けの良い、裏ごしされたムースのような食感なのでしょうね。
昭和が来て、平成が来て、次は何が来るかわかりませんが、もっと素敵な時代だと良いですね。